はじめに
7月は夏の本番を迎える月であり、暑さとともに人々の活動も活発になる時期です。
七夕やお盆、そして地域の夏祭りなど、古来からの風習や神事が多く行われ、神さまと私たちの暮らしが深く結びついていることを実感できる季節でもあります。
今回は、古事記に登場する神々との関連を軸に、7月に行われる伝統的な行事やお祭りをご紹介します。また、家庭内で神さまをお迎えするための御札立て【よりどころ】、【みちしるべ】の活用法も併せてお伝えします。
7月の風習と神話のつながり

七夕と天の川伝説の神話的背景
7月7日は七夕。織姫と彦星の伝説として知られていますが、実はこれは古事記の「天の安河原(あめのやすのかわら)」や「天の川」の神話と重なります。
星々が神の通り道とされた時代、夜空を見上げて神々の姿を想像した古人の感性は、現在の七夕に息づいています。
小暑・大暑と太陽神・天照大御神
7月には二十四節気の「小暑(しょうしょ)」と「大暑(たいしょ)」があり、太陽の恵みが最高潮に達します。
この時期は、天照大御神の存在感がとくに際立ちます。
太陽の女神として、稲作や日常生活を守る神さまに感謝を捧げる絶好の季節です。
海の日と海の神・綿津見三神(わたつみのさんしん)
7月の第3月曜日は「海の日」。古事記には、海を司る神として綿津見三神が登場します。
これはイザナギが禊を行った際に生まれた神々で、海の安全や漁業の繁栄に関係しています。
海に親しむこの季節、改めて海の神々に感謝を捧げてみてはいかがでしょうか。
7月に行われる神話に関連するお祭り

京都・祇園祭とスサノオ命
日本三大祭のひとつである「祇園祭」は、疫病退散を祈願するお祭りで、もともとはスサノオ命を祀る八坂神社の祭礼です。
古事記で荒ぶる神として登場するスサノオ命は、疫病や災いを祓う神でもあります。
7月1日から31日まで1か月に渡って行われ、神話的意味も含めて非常に重要な祭りです。
天神祭と学問の神・天児屋根命(あめのこやねのみこと)
大阪で行われる天神祭は、菅原道真公を祀るお祭りですが、神道的には祝詞の祖神である天児屋根命とも関係が深いといわれています。
神への祈りをことばで届けるという役割は、夏の災厄を避けるための言霊の力と直結しています。
お盆前の準備と黄泉の国
お盆の準備が始まる7月中旬、先祖の霊を迎える行事が各地で始まります。
古事記ではイザナミ命が死後の世界「黄泉の国」に入った後の物語が描かれており、死者と生者の接点としての意味が強調されています。
7月は、死者と向き合う神話的な月でもあるのです。
7月の自然と神々の象徴

夏野菜と保食神(うけもちのかみ)
ナス、キュウリ、トマトなどが旬を迎える7月。
保食神は、すべての食物を体から生み出す神として知られています。
自然の恵みに感謝し、食の神さまを意識して食卓を囲むことで、暮らしの中に神話を感じることができます。
雷と建御雷神(たけみかづちのかみ)
夏は雷が多い季節。雷を司る神として有名なのが建御雷神です。
出雲の国譲り神話で登場する武神であり、強いエネルギーと浄化の力を持つ神でもあります。
雷鳴を聞くたびに、古代の人々が神の声と恐れ敬った気持ちに思いを馳せたいところです。
朝顔と生命の再生
朝顔の花は、暑い夏の朝に凛と咲き、日が昇ると共にしぼんでいきます。
この儚さと再生を象徴する姿は、高天原で再生した神々や、黄泉の国との対比を想起させます。
1日ごとの命を大切にするという神話的精神を感じられる花です。
【神棚と節分】おみくじ置き「ミチシルベ」と御札立て「ヨリドコロ」のすすめ

おみくじを飾る「ミチシルベ」
おみくじを持ち帰り、その年の指針とすることはとても大切です。
「ミチシルベ」は、おみくじをおしゃれに飾れるアイテムで、神棚や玄関に置くことで運勢を意識した生活ができます。
御札を祀る「ヨリドコロ」
神棚やお札の置き場に困っている方には、「ヨリドコロ」がおすすめです。
シンプルなデザインながらも、神聖な空間を作ることができます。






おみくじをお洒落に飾る『ミチシルベ』






神棚の整えと心の涼をもたらす御札立て
神棚の通気と清浄化
7月は湿気が多くなりがちな季節です。
神棚も空気がこもらないよう、風通しを意識して清潔に保つことが大切です。
こまめな拭き掃除やお供え物の交換を通して、清らかな空間を維持しましょう。
季節の草花と清涼感
夏らしい笹や薄荷、朝顔などを神棚の近くに飾ることで、見た目にも涼やかで清らかな空間になります。視覚的な清涼感は、神さまを心地よくお迎えするための一工夫です。
御札を「立てる」意味
神さまを丁寧にお迎えするために「立てて祀る」ことが重要です。
神話における「神座(かみくら)」と同様、神聖な場所に正しく立てることで、日々の祈りが深まります。
神話を暮らしに取り入れる7月のすすめ

夏の節目に感謝と祓いを意識する
7月は上半期の総仕上げとも言える月。
祇園祭や天神祭などの神事を通じて、感謝と祓いの心を整えましょう。
災いを遠ざける意識を持つことが、神話的な生き方の第一歩です。
子どもと神話を語る七夕や雷
七夕の物語や雷の意味を、子どもたちと一緒に学ぶことは、日本の神話を未来へとつなげる大切な文化継承です。
夏の自然や星空を使って、楽しく学べる機会にしましょう。
500万冊の電子書籍が読み放題!人気のマンガや雑誌はもちろん、『古事記』関連の書籍も豊富に揃っています。自然を尊ぶ心と日々の信仰
野菜や草花、太陽や海──自然のすべてに神が宿るという古事記の世界観は、私たちの日常にも深く通じています。
感謝と共に、自然の恵みを受け取ることで、神話の精神を今に活かすことができます。
おわりに
7月は夏祭りのにぎわいと共に、古事記に息づく神々の力を最も感じられる月です。
家の中に神棚を整え、御札立て【よりどころ】【みちしるべ】を使って、日々の祈りの場を美しく保ちましょう。
神話のある暮らしが、きっとあなたの夏をより深く、より豊かにしてくれるはずです。