独断解説記事!!『全領域異常解決室』の設定を勝手に考察していきます!!!

※ストーリーのネタバレなどはなく古事記ファンとしての勝手な考察です

『全領域異常解決室』は、日本神話を土台にしながら現代のストーリーとして再構築されたミステリードラマです。

その中でも「興玉神(おきたまのかみ)が実は天石戸別神(あめのいわとのわけのかみ)であり、彼が死ぬとすべての神々が消えてしまう」という設定や、「ことどを渡す」力を使える描写が特に印象的です。

今回は、古事記や日本書紀の知識を基に、この設定が生まれた背景や脚本の意図を推測しながらわかりやすく解説していきます。

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1. なぜ「興玉神(おきたまのかみ)」が「天石戸別神(あめのいわとのわけのかみ)」で、彼の死が神々の消滅につながるのか?

全領域異常解決室公式HP

興玉神と天石戸別神の象徴的な役割

興玉神は、伊勢神宮外宮の興玉社で祀られる神であり、天照大神の荒魂(あらみたま)として解釈されることが一般的です。

一方で、天石戸別神の名前には「天石戸(天岩戸)」という重要な神話の舞台が含まれています。

これらの神々の共通点と関連性を考えると、以下のような象徴性が浮かび上がります。

天岩戸神話の継承者としての役割:

天岩戸神話では、天照大神が岩戸に隠れたことで世界が暗闇に包まれます。

このとき、岩戸を開けることで世界が再び光を取り戻すというストーリーが描かれています。

天石戸別神は、この岩戸を管理し、神々の世界と現世の秩序を守る役割を象徴すると考えられます。

神々の基盤としての興玉神の位置付け:

興玉神が天照大神の荒魂であるとするならば、彼は神々の霊的エネルギーや秩序を具体化する存在ともいえます。

このような神が消えることで、神話の世界全体が崩壊するという設定は、興玉神を神々の「根幹」として位置づけた脚本の工夫といえるでしょう。

「神々の消滅」のドラマ的意義

ドラマにおいて、「一人の神の死が他の神々の消滅を引き起こす」という設定は、物語を盛り上げるための重要な要素です。

この設定が生まれた背景には、以下のような意図があると考えられます。

  1. 神話の再解釈としての革新性: 古事記や日本書紀では、神々が独立した存在として描かれることが多いですが、このドラマでは興玉神を神々全体の象徴的な存在とすることで、独自の神話体系を構築しています。
  2. 現代的なメッセージ性: 神々の存在を支える基盤が失われることで「秩序や調和が崩れる」というテーマを提示しており、これは現代社会における基盤やつながりの重要性を暗示している可能性があります。

2. なぜ「ことどを渡す」力を興玉神に設定したのか?

公式Instagram

古事記・日本書紀における「ことどを渡す」の意味

ドラマでは記憶を消すために使われていたことどを渡すですが、そもそも「ことどを渡す」とは、古事記の黄泉比良坂の場面で、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が生と死の境界を隔てて交わした「別離の言葉」を指します。

この言葉は単なる会話ではなく、

  • 生者と死者を分ける儀式的な言葉
  • 呪的な力を持つ言霊(ことだま)

としての役割を持っていました。言葉には霊力が宿ると信じられていたため、「ことどを渡す」行為は神聖で不可欠な儀式でした。

興玉神が「ことどを渡す」力を持つ理由

ドラマで興玉神が「ことどを渡す」力を持つ設定になった背景には、以下の要素が関係していると考えられます。

  1. 興玉神の霊的な役割の強調: 興玉神は荒魂として「現世での神々の働きを支える力」を持つ存在です。この力が、神々の世界と人間界、生者と死者をつなぐ役割を担っていると解釈されます。
  2. 黄泉比良坂の象徴性の継承: 黄泉比良坂での「ことどを渡す」行為は、生と死の世界を分ける象徴的な儀式です。興玉神がこれを行える存在として設定されることで、神話的な重みが加わります。
  3. 現代的な解釈としての「言葉の力」: 現代社会では「言葉」が持つ力が再評価されています。興玉神が「ことどを渡す」力を持つ設定は、コミュニケーションや言葉が秩序を守るための重要な手段であるという現代的なメッセージを込めている可能性があります。

3設定全体の考察

『全領域異常解決室』の設定では、古事記や日本書紀を現代的に再解釈し、物語性を高めるための工夫が随所に見られます。興玉神と天石戸別神を統合することで、

  1. 神々の基盤としての役割を強調し、彼の消滅が全体の危機につながるように設定。
  2. 「ことどを渡す」という古代の神聖な行為を現代的に再構築し、言葉やコミュニケーションの重要性を浮き彫りに。

これにより、ドラマは視聴者に単なるエンターテインメント以上の深いテーマを提示しているといえるでしょう。


おわりに

古事記や日本書紀に直接的な記述はありませんが、『全領域異常解決室』の設定は、日本神話を新たな視点で解釈し、現代社会のメッセージとして再構築したものです。

このようなドラマを通じて、神話の持つ普遍的なテーマや象徴性を再発見する楽しみが広がります。

興玉神と天石戸別神の謎に込められた物語性を深く読み解くことで、私たちの価値観や世界観にも新たな視点が生まれるかもしれません。

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