はじめに
3月は春の訪れを感じる季節であり、日本ではさまざまな行事や祭りが行われます。
この時期の行事の多くは、自然の変化や農耕の準備と深い関わりがあり、神話や神々との結びつきが見られます。
特に、日本最古の歴史書である『古事記』には、日本の神々が自然や季節とどのように関わっているのかが記されています。
本記事では、3月に行われる伝統行事や風習と、古事記に登場する神々との関係を詳しくご紹介します
3月の主要な行事と関連する神話
ひな祭り（桃の節句）｜木花咲耶姫（コノハナサクヤヒメ）
ひな祭りとは？
ひな祭りは、3月3日に行われる女の子の健やかな成長を願う行事です。
平安時代に貴族の子女の間で流行した「流し雛」が起源とされており、江戸時代に現在のような雛人形を飾る習慣が定着しました。
木花咲耶姫とひな祭りの関係
ひな祭りには「桃の節句」という別名がありますが、「桃」という植物は、古事記に登場する**木花咲耶姫（コノハナサクヤヒメ）**と関わりがあります。
木花咲耶姫は、美しく儚い花の象徴とされる女神であり、桜の語源ともいわれています。
彼女は火の中で出産したという神話があり、これは「生命の力強さ」を表していると解釈されます。
ひな祭りもまた、女児の健やかな成長を願う行事であり、木花咲耶姫の象徴的な意味と共通しています。
春分の日｜天照大神（アマテラスオオミカミ）
春分の日とは？
春分の日（3月20日頃）は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日であり、自然や祖先を敬う日とされています。
日本ではこの時期に「彼岸（ひがん）」の行事が行われ、お墓参りをする風習が根付いています。
天照大神と春分の日の関係
春分の日は、太陽が真東から昇ることから、「太陽を神聖視する文化」と関係が深い日といえます。
古事記に登場する**天照大神（アマテラスオオミカミ）**は、日本の最高神であり、太陽を象徴する神でもあります。
天照大神は、岩戸に隠れたことで世界が闇に包まれた「天岩戸（あまのいわと）神話」で有名です。
彼女が再び岩戸を開いたとき、世界に光が戻りました。
これは、「春分の日に太陽が再び強く輝く様子」と重なり、日本神話と自然の移り変わりが密接に結びついていることが分かります。
彼岸｜イザナギ・イザナミの黄泉比良坂
彼岸とは？
彼岸は、春分の日と秋分の日を中心に行われる仏教行事で、先祖供養のためにお墓参りをする習慣があります。
「彼岸（ひがん）」は「此岸（しがん）」の反対の概念であり、「あの世とこの世の境界が近づく期間」とされています。
古事記に見る死後の世界と彼岸の関係
古事記には、死後の世界である「黄泉の国（よみのくに）」が登場します。
イザナギとイザナミの神話では、妻のイザナミを黄泉の国から連れ戻そうとしたイザナギが、最終的にその境界である「黄泉比良坂（よもつひらさか）」でイザナミと別れる場面が描かれています。
この神話は、「死後の世界と現世の境目が存在する」という思想につながり、彼岸の風習にも影響を与えていると考えられます。
3月の自然現象と神話
梅の花と少彦名命（スクナヒコナノミコト）
3月は梅の花が見頃を迎えます。梅は厳しい冬を乗り越えて咲くことから、「忍耐」「生命力」の象徴とされています。
古事記には、医薬や発酵の神である**少彦名命（スクナヒコナノミコト）**が登場します。
彼は、人々に薬や酒造りを教えた神とされ、日本の植物や自然の恵みと深い関わりがあります。
梅の花もまた、日本文化と密接に関係する植物であり、古来から愛されてきました。
春雷と建御雷神（タケミカヅチ）
春になると、雷が鳴ることがあります。これは「春雷（しゅんらい）」と呼ばれ、田畑を潤す雨をもたらす前兆とされています。
雷を司る神として、古事記には**建御雷神（タケミカヅチ）**が登場します。
彼は雷を象徴する武神であり、鹿島神宮の御祭神としても知られています。
春雷は、農耕の開始を知らせる自然現象でもあり、雷神の力が関与していると考えられてきました。
3月におすすめの神社参拝
3月に訪れるのにふさわしい神社をいくつかご紹介します。
- 富士山本宮浅間大社（静岡県）
- 木花咲耶姫を祀る神社。ひな祭りの季節にぴったり。
- 伊勢神宮（三重県）
- 天照大神を祀る神社。春分の日に参拝すると特別なご利益があるとされる。
- 鹿島神宮（茨城県）
- 建御雷神を祀る神社。春雷のシーズンに訪れるのに最適。
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まとめ｜春の行事を神話とともに楽しもう
3月の行事には、古事記の神々や神話と結びついたものが多くあります。
ひな祭りでは木花咲耶姫、春分の日には天照大神、彼岸ではイザナギとイザナミの神話が深く関係しています。
また、自然の移り変わりと神話のつながりも見られ、梅の花や春雷にも日本神話が反映されています。
3月の行事をより楽しむために、古事記の神話とともに過ごしてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、春に向けて日本の伝統行事や神社巡りを楽しんでください。
