
神社や神様について、皆さんにもっともっと知ってもらうために、日本最古の歴史書である『古事記』『日本書紀』に描かれている神話や神さまついて、ちび神さまの『にぎこの』が楽しく説明してくれます。
目次
【イザナミの死】ストーリー

にぎ:「このさん、このさん。今日はちょっと重いけれど、とても大切な神話のお話をしてもいいかな?」
この:「うん、にぎさんの話はいつも楽しみ。今日はどんな神話の世界を旅するの?」
にぎ:「今日はね、『イザナミの死と黄泉の国』について話そうと思っているんだ。イザナギとイザナミは、日本という国そのものを生み出した神さまたち。けれど、そんな二人にも避けられない悲劇が訪れたんだ。」
この:「国をつくった神さまにも、悲しい出来事があったの?」
にぎ:「そう。イザナミはたくさんの神を産んだけれど、火の神・カグツチを産んだとき、その激しい炎で体を焼かれ、重い傷を負ってしまった。そして、ほどなくして命を落としてしまったんだ。」
この:「命をかけて神を産んだなんて……それはとても痛ましいね。」
にぎ:「本当に。イザナギは、イザナミを心の底から愛していた。彼は彼女の死をどうしても受け入れられず、禁じられた黄泉の国へと足を踏み入れたんだ。」
この:「黄泉の国って……死者の魂が向かう世界、だったよね。」
にぎ:「そう。現世とは違う、陰と静寂に包まれた場所。イザナギは闇の中、イザナミに再び会えた。でも、そこで彼女はこう言うんだ。“黄泉の食べ物を口にしてしまったから、もう簡単には戻れない”と。」
この:「食べ物を口にすることが境界を越えるって、どこか現実ともつながっているようで怖いね……。」
にぎ:「それでもイザナギは諦めず、イザナミに現世へ戻ってきてほしいと頼み込んだ。イザナミは“黄泉の神と相談するから、決して私の姿を見ないでほしい”と告げたんだけれど……」
この:「もしかして……」
にぎ:「そう、イザナギは耐えきれなかった。あまりに長く待たされて、不安に駆られ、黄泉の国の闇の中で火を灯し、イザナミの姿を見てしまったんだ。そこには、腐敗し、変わり果てた彼女の姿があった。」
この:「……それはあまりに切ない。」
にぎ:「イザナミは怒りと恥から黄泉の軍勢を放ち、イザナギを追いかけた。必死に逃げた彼は、黄泉比良坂(よもつひらさか)という坂で巨大な岩を置き、二つの世界の境を封じたんだ。」
この:「もう二人は、永遠に会えなくなってしまったの?」
にぎ:「うん。そして、その岩越しに交わされた最後の“ことど”――別離の言葉こそが、古事記の中でも特に印象的な場面なんだ。イザナミは“私はこれから毎日、千人の人間を死なせる”と告げ、イザナギはそれに対して“ならば私は毎日、千五百人を産ませよう”と返した。」
この:「人の“死”と“生”がここで生まれたんだね……神話が、現実の世界にまでつながっているなんて、すごく深い。」
にぎ:「イザナギはその後、自身の体を清める“禊(みそぎ)”を行い、そこから新たな神々――太陽の神・天照、月の神・月読、海の神・スサノオが誕生するんだよ。」
この:「悲しみの中から、新しい命が生まれた……まるで再生の物語みたい。」
にぎ:「そうだね。だからこの神話は“喪失”と“再生”を伝える大切なお話なんだ。そして今でも、イザナミの魂は島根県の**比婆山(ひばやま)**に祀られ、人々の祈りを受け続けているよ。」
この「イザナミを忘れず、今も大切にしている人がいる……それってとても素敵なことだね。」
にぎ:「古事記の物語は、ただの昔話じゃなくて、私たちの心や生き方に語りかけてくれるものなんだよ。これからも、そんなお話を一緒に深く感じていこう。」
この:「うん、また新しい神話を教えて。きっと、今の私にとっても大切なヒントが見つかる気がするから。」

『イザナミの死』~出演:神さま紹介

伊邪那岐命(イザナギノミコト)
伊邪那美命(イザナミノミコト)
火の神カグツチ
【イザナミの死】出演神さま関わり神社紹介

【にぎこの】紹介
